年賀状に始まり、暑中見舞いや残暑見舞いなど
日本には季節の挨拶をハガキに託す風習があります。
遠方に住む恩師であったり友人であったりと、
季節ごとに相手を想う気持ちを伝える習わしはいつ頃からはじまり、
どんな意味を持つのでしょうか。
今回は暑中見舞いを例に日本の風習についてご紹介しましょう。
暑中見舞いを出す意味と時期は?
暑中見舞いの起源を辿ると、古くは江戸時代まで遡るそうです。
当時は1年を2つの期に分けて考えていました。
それぞれの期が始まるのが正月と夏の時期に当たるお盆でした。
正月に年始の挨拶をするように、夏の時期にも互いの健康と新しい期も
健やかに過ごせるようにという気持ちを表すために、贈答品とともに
挨拶廻りをしたのが、暑中見舞いの起源とされています。
その後、贈答品を贈る習慣はお中元へと受け継がれ、
お中元後の挨拶として暑中見舞いの挨拶状に簡略化されたのです。
では、暑中見舞いは夏の時期であればいつでも出して構わないのでしょうか。
答えはノーです。暑中見舞いには出すべきタイミングがあります。
暑中見舞いを出すタイミングは、
梅雨明け頃の大暑から立秋までの間とされています。
1年で一番暑い時期に相手の健康を思う書状なので、
出す時期を逃さないようにして下さい。
ちなみに、大暑(7月22日頃)以前に出す場合は「梅雨見舞い」、
立秋(8月7日頃)以降に出す場合は、「残暑見舞い」となります。
大暑、立秋など二十四節季はその年によって異なるので、毎年注意が必要です。
カレンダーに記述されているものも多いので上手に活用しましょう。
暑中見舞いのマナーは?
暑中見舞いでのマナーはまず、先にもあげましたが
出すタイミングに注意する事。
“暑中見舞いの言葉”が入っている事。
時候の挨拶の言葉が入っている事などありますが、時候の挨拶に始まり、
相手の健康を気遣う、こちらの近況報告、結びの挨拶と日付が入っていれば
おおむね大丈夫です。
「拝啓」ではじまり「敬具」で終わるような厳格なきまりは
かえって堅苦しくなりますので、季節感のある言葉で始まり、
相手の健康を気遣う言葉で結ぶとシンプルになります。
暑中見舞いを出す相手にも気を遣いたいものです。
年賀状のように普段顔を合わせる機会が少ない人に出すのは当然として、
喪中の人に出すべきか悩む方も多いと思います。
喪中については、四十九日以降に出せば問題はありませんが、
やはり、文面には気を遣い相手の心情を大切にした文面が良いでしょう。
暑中見舞いの文例をご紹介。
ここで暑中見舞いの代表的な文例を挙げておきます。
年々暑さが厳しくなり、今年も既に各地で最高気温記録が更新されましたが、
いかがお過ごしでしょうか。
このような暑い気候ですが、おかげ様で私たち夫婦は元気に過ごしております。
酷暑の折、夏バテなどなさいませんよう心よりお祈りいたしております。
平成○○年 盛夏
上の例では、“暑中お見舞い”の言葉が入り、時候の挨拶、相手の健康を気遣い、
近況報告、そして、結びの挨拶とシンプルにまとめてあります。
日付も忘れずに入れて下さい。例のように“盛夏”とすると季節感が増します。
厳密に〇月〇日と入れる必要はないでしょう。
まとめ
日本に古来から伝わる風習として
暑中見舞いに関するマナーをご紹介しました。
最近はメールに取って代わられている感は否めませんが、
やはり、直筆の書面にはその人の気持ちが感じられ、
受け取った人もその気持ちに応えようとします。
年賀状とともにいつまでも後世に伝えたい風習のひとつです。