日本には年賀状や暑中見舞い、寒中見舞いなど
季節の折々に書状で挨拶を交わす習慣があります。
年賀状などはメールで済ませる人もいるようですが、
やはり直筆のハガキはもらってうれしいものです。
しかし、身内に不幸があった場合には、
「喪中につき年末年始のご挨拶をご遠慮申し上げます」
などというハガキをもらったりする事もあります。
そうした時には、年賀状を出す事を控えるのが礼儀ですが、
夏の暑中見舞いでは喪中をどう扱ったらいいのでしょうか。
案外知られていないこのマナーについて調べてみました。
暑中見舞いは喪中に出してもいい?
暑中見舞いは地域によって異なりますが、
梅雨明けから立秋(または大暑から立秋)の暑い時期に
季節の挨拶と相手の健康を気遣って出す書状です。
時節の挨拶ですから、新年の慶びを表すものではないので、
喪中は無関係のような気がします。
実は、暑中見舞いは暑い時期にお互いの健康を気遣うという観点から、
喪中であっても出して構わないのです。
そうは言っても、不幸があった直後は控えるべきで
四十九日以降に出すなど、先方に対し一定の配慮は必要です。
暑中見舞いを喪中に出す時のマナーと文例をご紹介。
喪中であっても暑中見舞いを出して構わないのですが、
出していいか迷った時には、少し期間をあけて「残暑見舞い」として
出すのもマナーのひとつです。
あくまでも、「季節のお見舞い」という形式にのっとり、その上で近況報告や
先方の健康状態や、ふとした心遣いを表すのがよいでしょう。
また、喪中であることを踏まえて、あえて控え目なデザインの
ハガキにしたりする心配りも大切です。
喪中の暑中見舞いの文例としては、以下のようなものがあります。
暑さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。
〇〇様におかれましてはご尊父様のご逝去により
お忙しい日々をお過ごしのことと存じます。
少しでも早く日々の寂しさが和らげば、と心からお悔やみ申し上げます。
どうかお身体には十分ご注意いただき、健やかな毎日をお過ごしくださいますよう
心からお祈り申し上げます。
平成〇年 盛夏
こういったように、不幸からの立ち直りを支えるような文面で
さりげなく書状を書くのがよいでしょう。
気をつけるポイントとして、「くれぐれも」「いろいろと」といった
「重ね言葉」は使わないで下さい。不幸が重なる、として忌み嫌われています。
また、自身に不幸があった場合は、以下のような文例があります。
暑さ厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。
私どもは、去る〇月、○○が逝去致しました。
生前のご温情にお礼申し上げるとともに謹んでお知らせ致します。
どうかお身体には十分ご注意いただき、
健やかな毎日をお過ごしくださいますようご自愛下さい。
平成〇年 盛夏
こうしたように、生前のお礼の言葉を添えるのも良い例です。
また、「追って」など不幸が追いかけてくるような言い回しは避けましょう。
こうした言葉の使い方は大変にデリケートで難しいものですが、
相手を気遣い無難な表現を心がければ失敗は少なくなります。
まとめ
今回は、喪中での暑中見舞いについてご説明しました。
日本ならではの習慣で、少し難しい礼儀作法もあったかと思います。
押さえるべきポイントは、先方が喪中であっても
暑中見舞いは出しても構わない。その時、避けるべき言い回しがある。
暑中見舞いを出すべきか迷ったら時期を見て残暑見舞いとして出す。
身内に不幸があった場合も暑中見舞いを出しても構わない。
この辺りを押さえておけばマナーにのっとった正しい暑中見舞いになるでしょう。