今回は一目千本桜の紹介をいたします。
ご存じの人もいるかもしれませんが、観光名所としても有名な桜の道は
人の心を感動させる美しさです。
しかしその桜並木に、いったいどんな歴史があったかご存じでしょうか。
もし今年見に行く予定のある人は、より一目千本桜を楽しむためにも
是非知っていて欲しいですし、まだ見に行く予定のない人も、この
一目千本桜が観光名所になった理由に納得して行きたくなることでしょう。
一目千本桜(ひとめせんぼんざくら)の歴史をご紹介。
桜並木は大河原町出身の高山氏が大正12年に約700本、
昭和2年に500本、計1200本もの苗木を寄付・植樹してできたものです。
高山氏は15歳の時に父が他界し、それまで経営していた旅館が
廃業になり、家族を養うために上京しています。
彼は東京商機新聞、東京美術館、日本林業の会社を設立した努力家の人で、
その頃近所にある桜の名所の飛鳥山公園(東京都北区)をふるさとのように
再現しようと白石川堤にソメイヨシノの苗木を植えました。
現在もこのソメイヨシノの寄付を記念に、大河原橋下に建てられた桜樹碑に
彼の名前が刻まれています。
その桜の植えられた距離は柴田町船岡土手内から隣町の大河原町金ヶ瀬に
かけて約8㎞もあり、毎年20万人以上もの多くの人が見に来ています。
かつては進駐軍などもこの花を見に来ていました。
その後、昭和28年に尾形町振興協賛会の会合にて、半沢氏が命名したと
いわれています。日本を代表する桜の名所「吉野山」(奈良県吉野町)が
平安時代から一目千本と呼ばれていたことにちなみ名づけられました。
■一目千本桜は多くの人の手によって守られている
宮城県柴田農林高等学校、大河原ライオンズクラブ、大河原町さくらの会が
それぞれの役割をはたしてこの一目千本桜を守っています。
桜の大敵テングス病は、侵入すると1か所から小さな枝がホウキ状に
出てきます。この枝は花が咲かなくなってしまい、放置しておくと
木全体が病にかかり枯れてしまいます。
そのためこれは見つけ次第にすぐに切り落とす必要があり、このテングス病の
枝の剪定を昭和2年から柴田農林高校が長きにわたりおこなっています。
大河原ライオンズクラブは、老木の多い一目千本桜が倒れたり枯れたりする事が
あるため、昭和54年発足以来、桜の補植などを行い、桜祭りの前には大河原駅前
の清掃奉仕などを行ってくれています。
さくらの会は平成9年に結成され、さくらの調査や研究、PR活動などを行って
います。最近では柴田農林高校と共同でセンダイヨシノの普及に取り組んでいます。
このことからも、歴史ある一目千本桜を地域が一丸となって守って
いることがよくわかります。
■観光名所としても選ばれ認められている一目千本桜
昭和62年 宮城県新観光名所百選
平成2年 さくら名所百選(日本さくらの会)
平成6年 新日本街路樹百景(読売新聞)
平成14年 遊歩百選(読売新聞)
これらに選ばれ認定されていることからも、
非常に優れた観光名所ともいえます。
非常に多くの桜が見渡す限りに見られる一目千本桜は、
まさに一生に一度は見ておきたい場所かもしれませんね。
一目千本桜(ひとめせんぼんざくら)の見頃や行き方は?
一目千本桜の見ごろは、過去10年ほどの開花状況や散り始めの
データを見ると、4月10日頃に開花し、満開が4月15日、
散りはじめが4月20日頃となっています。
勿論その年の気候などにもよって変化はしてきますが、
この日付を参考に前後すると考えてよいでしょう。
ちなみに昨年度は4月6日から17日までの間、
さくら祭りが開催されています。
○交通機関○
◆最寄駅:JR大河原駅(徒歩3分)
◆車の場合
東北自動車道 白石ICより約15分
東北自動車道 村田ICより約20分
◇駐車場
大河原町 河川敷臨時駐車場 500台(500円)
柴田町 河川敷駐車場 150台(無料)
非常に混雑するこの時期には、公共機関で行くことをおすすめします。
駐車場もすぐ満車になってしまい、空きはなかなかでません。
また、周辺も混雑するため渋滞なども予想されるため
車での移動はあまりしないほうがよさそうです。
どうしても車で行きたい場合には、少し離れた場所や数駅離れた
ところまで車で行き電車に乗って徒歩で行った方がよさそうです。
まとめ
一目千本桜は歴史もそのスケールも大きく、そして多くの人から
愛されている名所でもあります。
咲き乱れる桜に「行ってよかった」と思う人が多いのは、
やはりそれだけの労力があるからでもあります。
ただ自然に咲いている花も美しいですが、人が守りつないできた
その場所というのも素晴らしく美しいものです。
人のつながりと自然の美しさを見られる一目千本桜、新生活に
疲れた人も息抜きにぜひ見に行ってほしい場所です。