みなさんは小さな頃に、ちまきと柏餅の
どちらを子供の日に食べたでしょうか?
関東に住んでいる私にとっては「ちまき」自体を
食べるキッカケがあまりありません(個人差はあると思いますが)。
なので食べた記憶を思い返すと数回程度しかなく、
子供の日といえば柏餅でした。
それぞれ子供の日に食べるものではありますが、その意味は違っています。
一体どんな意味があるのか調べてみました。
子どもの日のちまき(粽)や柏餅の意味は?
◆柏餅
柏餅は柏の葉でくるまれていますが、柏は新しい芽が大きく育つまで古い葉が
落ちないことから「子どもが大きく育つまで、父母が亡くなることはない」
という意味を持っています。
その子どもが親になり、また子どもをもうけて後継ぎを見届ける、
これを子孫繁栄とも考えられ、後継ぎや家系存続を大切にした武家にとっては
柏は非常に縁起のよいものとされていました。
そのため武家だけでなく、宮中行事としても柏餅は食べられていました。
子どもを思い、大きくなるまできちんと見届けたいという親心がよくわかります。
親にとって、子どもはいつまでも子どもです。
それでもせめて大きくなって結婚するまでは健康でいたい、と
親になれば誰しも思い願うことではないでしょうか。
また柏は神聖な木と見なされており、神様へのお供えをする際に
器としても使われていました。
ここからも、大切な節句を祝うために柏の葉という良いものを
用いたことがわかります。
これは豆知識になりますが、柏餅の葉は巻き方によって
餡の中身を表しています。
葉の表で巻くのは味噌餡。葉の裏で巻くのは小豆餡です。
実は調べるまで知りませんでした。
次回の子どもの日には、ぜひ巻き方にも注目してみてくださいね。
◆ちまき
ちまきは平安時代に中国から伝わった食べ物です。
中国ではちまきが邪気払いや厄払いに良いとされていました。
また、ちまきに結ばれた赤・青・黄・白・黒の5色の糸は、
子どもが無事に育つようにと願い、魔除けの意味をこめており
吹き流しの色(こいのぼり)にも反映されています。
こちらも子どもの無事を願う気持ちがよく表れています。
昔は特に今よりも医療は発展していませんでしたから
思わぬ病気や事故などで子どもが亡くなることもあったでしょう。
健康に生まれること、丈夫に育つこと、事故なく健康でいてくれること、
これらすべてを願わない親はいません。
神様を信じていなくたって、悪いものからこの子が守られるように
という願いは昔も今も変わりませんね。
そして、現在のちまきは笹の葉でくるまれていますが、
かつては茅(ちがや)という植物の葉を使用していました。
それを「ちがやまき」と呼び、だんだんと短くなり
「ちまき」という名前になったのです。
2章: 子供の日にちまき(粽)と柏餅のどちらを食べる?
それぞれの育った地域によって「柏餅しか食べたことがない」
「ちまき以外ありえない」という声もでるでしょう。
それもそのはず、実は地域によって柏餅かちまきか変わってくるのです。
柏の葉は西日本ではあまり自生しなかったため、結果江戸を中心に関東では
柏の葉を使った柏餅を、関西ではちまきが伝わった奈良・平安時代に当時都が
あった近畿で広まり、関西圏はちまきが主流となりました。
ちなみに秋田などの出羽国は、ちまきと笹巻きを作り、
東北の陸奥国は柏餅、ちまきの両方を作りました。
常陸国(茨城)では茅巻餅を贈答し、紀伊国(和歌山など)は
柏に包んだものと千巻というものを。
淡路国(兵庫)ではちまきを神仏に供える、など、
地域差はあるものの、柏か粽か、というところは変わりません。
現在では全国的に柏餅を選ぶ人が増えている傾向にあります。
しかし、伝統を大切にする関西地方の方々にとってちまきは愛着があり
今でも大切にされています。
始まりはちまきの方が先と言えますが、江戸時代に広まった柏餅が
縁起の良い食べ物として関東に根付いたようです。
まとめ
どちらも歴史と伝統のある食べ物ですが、
どちらも「子供の成長と無事」を願う気持ちに変わりはありません。
柏餅もちまきも、素敵な思いの詰まった食べ物ですね。
今まで柏餅を食べる風習がなかった・ちまきを食べる風習がなかった
地域の人も、次の機会に食べてみてはどうでしょうか。
どちらにも良い意味が込められているので、
縁起ものとしていただけますね。